October 20, 2009
今も残る茅葺きの家
建築と畑を一体化させようと試みている繭のイメージは、茨城県にある私の父の生家がもとになっています。農村の茅葺き屋根の家です。
茅葺き屋根の家は、暑い夏の日でも、家の中に一歩入れば、ヒヤリとすずしく、また、太い材木の匂いとも、いろりの匂いとも、土の匂いともつかない、独特の匂いがあって、心底いやされます。
1970年代まで、父の生家でも蚕を育てていて、土で突き固めたでこぼこした土間に、天井にまでとどくぐらいの蚕棚がありました。
蚕は、どの農家でも大切にされ、全盛期では座敷にまで蚕を置いたそうです。
蚕がむしゃむしゃと桑の葉を食べる音がする中で、夜は蚊帳を張って寝ました。
アオダイショウという蛇も家に棲んでいて、いろいろな生き物と一つ屋根の下で暮らしているようでした。そんな茅葺きの屋根の家が忘れられません。
今度の土曜日、大阪で講演をする機会を頂いたので、茅葺き屋根の家を紹介したいと思いましたが、父の生家はすでに瓦屋根に立替えられてしまっているので、国指定の重要文化財として今でも残っている「大塚家住宅」にお邪魔して、写真を撮らせてもらうことにしました。
繭から自転車ですぐの集落の中です。
あたたかみのある茅葺き屋根がありました。
土間に入ると、あの独特な匂い。
重要文化財として、展示物になっているのかと思えば、今でも茅葺きの母屋で生活をされているそうです。
常にいろいろな人が尋ねてくるので大変です。
しかし、とても親切にお話をして下さいました。今度は、お茶菓子でも持って尋ねたいと思います。
時が止まったようでした。
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