November 02, 2009

有機農業のような

農薬を使わないで野菜をつくるには、相当な手間がかかるだろうと思います。うちの猫の額ほどの小さな菜園でさえ、雑草取りや虫取りをするのは容易ではありません。
生活の糧となる売り物だとすれば、相当な労働でしょう。効率化、経済性を優先させて来た結果、農薬によって環境は変化し、農作物の質が落ちたと言えるでしょう。その背景には、形のそろっていうものしか売れない、傷のないものしか売れない、安いものしか売れない等、消費者のニーズがあるのだそうです。

建築、特に住宅にも、似たようなことが言えるかもしれません。
「早く建つ」「低価格」を競うことによって、工業化、規格化が進み、狂いが生じやすい自然の材料は除外されがちです。大工の棟梁が材木のくせを読み、適材適所に加工してきたわざも、発揮する機会が少なくなり、簡単な釘打ち作業しかできない大工が現れるようになってしまいました。また、住宅を商品として扱う販売者も、職人としての技を評価するよりも安くて早く造らせることに重点を置き、見えないところで手を抜いて欠陥住宅問題を引き起こしています。シックハウス症候群という、家が原因の病気も発生するようになりました。勿論、全部の住宅がそうであるはずはありませんが、問題が引き起こされたのは、効率化や経済性を優先させて来た結果のように思います。

「いのち耕す人々」という映画があります。
近代化農業に世の中が移行するなかで、かたくなに有機農業を実践してきた人々の姿にとても感動します。

映画を見ながら、いつの間にか、設計の仕事と重なってきました。
住宅の設計も、とにかく手間がかかる。
でも、がんばって手間をかけてやろう!と、決意を新たにしたのでした。

時空遊園
茨城県つくば市の建築設計事務所


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Posted by sakura at 07:04 P | from category: 自然・環境・建築 | TrackBacks
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